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男女共同参画・
少子化

Gender equality,
the declining birthrate

男女共同参画・少子化 男女共同参画・少子化

顕彰結果

令和3年度男女共同参画・少子化関連研究活動の支援に関する顕彰事業

2021.12.10

第12回(令和3年度)男女共同参画・少子化関連顕彰事業 選考結果について

当基金の選考委員会の結果に基づき、受賞者を決定いたしました。
本顕彰事業は、男女共同参画社会の推進、並びに少子化対策が、わが国の健全なる発展に極めて重要であるとの基本認識に立ち、若手研究者等の研究・活動の一層の推進を目指すことを目的としております。

1. 顕彰の趣旨

本顕彰事業は、男女共同参画社会の推進及び少子化対策が、わが国の健全なる発展に極めて重要であるとの基本認識に立ち、若手研究者等の研究・活動の一層の推進を目指すものです。

2. 選考委員

(1)    恵泉女学園大学 学長 大日向 雅美氏
(2)    お茶の水女子大学 基幹研究院 教授 ジェンダー学際研究専攻長 永瀬 伸子氏
(3)    中京大学 現代社会学部 教授 松田 茂樹氏
(4)    公益社団法人 程ヶ谷基金 理事長 相原 元八郎

3. 選考結果

(1) 論文部門

①最優秀賞
東京理科大学 経営学部 准教授 菅原 慎矢氏
「Long-term care at home and female work during the COVID-19 pandemic」
②優秀賞
(ア) 東京大学大学院 総合文化研究科 博士後期課程 吉田 航氏
「新卒採用のジェンダー不平等をもたらす企業の組織的要因―企業の経営状況との関連に着目して―」
(イ) 独立行政法人労働政策研究・研修機構 研究員 小松 恭子氏
「日本女性のスキル活用と男女賃金格差―PIAACを用いた日・韓・英・ノルウェー比較」
③奨励賞
(ア) 一橋大学大学院 社会学研究科 博士後期課程 戸井田 晴美氏
「ダブルケアの生起から終焉までのプロセスに関する質的研究―ケアの集中化の実態とその構造―」
(イ) 独立行政法人日本学術振興会 特別研究員PD 三品 拓人氏
「児童養護施設における日常生活の社会学―「家庭的な養育環境」の再検討―」
(ウ) 立命館大学大学院 先端総合学術研究科 一貫性博士課程 平安名 萌恵氏
「『沖縄の非婚シングルマザー』像を問い直す―生活史インタビュー調査から」
(エ) 明星大学 准教授 本多 真隆氏
「戦後日本家族と「子育ての連帯」―団地幼児教室における「民主的」運営への着目から―」
(2) 活動部門

活動賞

(ア) 特定非営利活動法人ぎふ多胎ネット ピアサポートチーム(チームリーダー 小沢 梨恵氏)(岐阜県多治見市在)
「子育て仲間ができにくく孤立しがちな多胎家庭を妊娠期から仲間としてサポート」
(イ) 合同会社こどもみらい探求社(共同代表 小笠原 舞氏、小竹 めぐみ氏)(兵庫県神戸市在)
「親子で生きることを楽しむオンラインの子育て支援」
(ウ) 一般社団法人シュフレ協会(代表理事 武次 直美氏)(神奈川県川崎市在)
「親と子の笑顔をまもり・増やす活動。」
(エ) 特定非営利活動法人Chance For All(代表理事 中山 勇魚氏)(東京都足立区在)
「放課後の居場所づくりを、すべてのこどものために」
(オ) 認定NPO法人ふれあい館ひろしま(理事長 今田 美雪氏)(広島県竹原市在)
「妊娠期からの子育て支援」

奨励賞

(ア) 一般社団法人IAm(共同代表理事 眞栄田 若菜氏、阿部 藹氏)(沖縄県那覇市在)
「沖縄の若年女性のエンパワーメント」

4. 顕彰者応募作品等の概要及び選考理由

(1) 論文部門

①最優秀賞
東京理科大学 経営学部 准教授 菅原 慎矢氏
「Long-term care at home and female work during the COVID-19 pandemic」
(ア)応募作品等の概要
2020年2月から5月の第一波に関するデータを用いて、コロナ禍の居宅介護ならびに労働への影響を分析した。介護に関しては、通所介護部門の減少が顕著であるが、政府が奨励していた訪問介護部門での代替は機能していないことが示された。
一方、女性の労働状態が、感染拡大により影響を受けやすいこと、通所介護の利用控えが、女性による家庭内介護によって代替されていることを示唆する分析結果も得られた。この傾向は男性には見られないことから、介護保険の導入後20年を経ても、未だ女性が日本における家族介護の主たる担い手であることが示された。
(イ)選考理由
緊急性の高い社会問題であるコロナ禍における女性の労働と介護の問題について、地域レベルの集計データを最大限に活用し、限られた時間の中で速報性の高い分析結果を英語で発信したことが高く評価された。統計学的にも内生性をクリアにする手続きを踏むなど高度な手法を用い、PCR陽性者数の増加が介護部門の利用控えと女性の労働時間への負の相関があることを実証した。喫緊の課題に対してエビデンスに基づく政策提言を可能にした点で社会的意義の高い研究である。
②優秀賞
① 東京大学大学院 総合文化研究科 博士後期課程 吉田 航氏
「新卒採用のジェンダー不平等をもたらす企業の組織的要因―企業の経営状況との関連に着目して―」
(ア)応募作品等の概要
組織制度や権力関係等の企業の組織的要因が、経営状況に応じてジェンダー不平等に対してどのような影響を与えているか、国内大企業の新卒採用を対象に分析した。
その結果、ワークライフバランス(WLB)改善に向けた企業内施策は、基本的には新卒女性採用比率に影響しないものの、施策が充実している企業ほど、業績が悪いと女性採用率が低くなる傾向にあり、一方で、女性管理職比率の高さは、業績の良し悪しに関わらず、女性採用を促進させる効果を持つことが確認された。
(イ)選考理由
調査・分析によってアプローチするのが困難な対象といわれる新卒採用におけるジェンダー不平等について、オフセット項つき負の二項回帰モデルや、非線形モデルでの予測値に基づく交互作用効果の解釈など、レベルの高い手法を用いて、この若さで、ユニークな角度で実証した点が高く評価された。WLB施策が充実している企業において、業績悪化期に女性採用比率が低下するという従来の常識とは異なる興味深い知見を実証的に示しており、政策的な示唆にも富むものである。
② 独立行政法人労働政策研究・研修機構 研究員 小松 恭子氏
「日本女性のスキル活用と男女賃金格差―PIAACを用いた日・韓・英・ノルウェー比較」
(ア)応募作品等の概要
日本における就業率や賃金の男女格差の実態や課題について、子供の有無やスキルのレベル、スキルの活用の差に着目しながら、OECDの国際成人力調査(PIAAC)の個票データを用いた国際比較を通じて明らかにした。その結果、日本では、先進諸国と異なり、①子供のいる女性は高い認知スキルを有していても労働市場に参入していないこと、②参入しても、正規雇用や管理職・専門職ではない場合に認知スキルが活用されていないこと、③正規雇用で雇用されるなどにより認知スキルが活用されている場合は、男女の賃金格差が比較的小さいこと、を実証した。
(イ)選考理由
PIAACという労働者の認知能力、数的思考力を測るユニークな調査結果を用いて、スキルやタスク等、従来の日本の先行研究であまり使用されなかった指標に着目し、丹念に国際比較をした点が高く評価された。自身の子育て及びキャリア形成の両立等の実体験を経て、研究者として新たなスタートを切り、自身の強い使命感に基づき身をもって示そうとする姿勢が感じ取られ、高い共感を与えた。
③奨励賞
① 一橋大学大学院 社会学研究科 博士後期課程 戸井田 晴美氏
「ダブルケアの生起から終焉までのプロセスに関する質的研究―ケアの集中化の実態とその構造―」
(ア)応募作品等の概要
ダブルケアにおけるケアの集中化の実態とその構造を、ケアとともに生きる人々の語りを用いて解明した。分析の結果、①ダブルケアの生起プロセスには、いくつかの進行パターンが存在したこと、②ケア対象者の複数化によって、ニーズや時間軸などの多重性が生じ、その結果、自分の仕事や健康などをケアとトレードオフする状況を生み出していたこと、③ダブルケアの終焉については、死後の整理が必要になる実態や後悔しないためにケアをするという「死と後悔のイデオロギー」が存在することなどを明らかにした。
(イ)選考理由
39名という多くの調査協力者の語りを丁寧に多角的視点から分析することで、ダブルケアに関する多くの知見を獲得した。筆者は遅咲きの研究者であるが、体当たりで研究に取り組む姿勢と、読み手を引き込ませる文章力が評価された。「ダブルケアの生起から終焉まで」という広域を研究の射程とし、ケア領域が世帯の枠組みや世代も超え、拡大傾向にあるという事実を突き止めたことは、今後重要な示唆となる。
② 独立行政法人日本学術振興会 特別研究員PD 三品 拓人氏
「児童養護施設における日常生活の社会学―「家庭的な養育環境」の再検討―」
(ア)応募作品等の概要
児童養護施設において参与観察調査を行い、日常生活において子ども同士や大人との些細な相互行為に着目し、身体的暴力や友情形成、子ども同士の格差とそこに関わる職員のジレンマ、生活ルールの生成など、様々な論点やトピックから施設の共通点や問題点を明らかにした。子どもも職員も、自身が経験してきた環境こそが「家庭」であると思念しており、それが施設の価値観や判断基準を形成していることも明らかにした。
(イ)選考理由
自身が職員になることで児童養護施設に入り、起床から就寝まで、様々な行事に同行し、施設生活のリアリティに迫ろうと丹念に参与観察をした力作である。この領域における基本的な文献をきっちりと押さえており、実直に対応する姿勢も評価された。反面、やや総花的になっており、児童養護施設の問題をより深く切り込んで、さらにインプリケーションのある発展した研究を期待したい。
③ 立命館大学大学院 先端総合学術研究科 一貫性博士課程 平安名 萌恵氏
「『沖縄の非婚シングルマザー』像を問い直す―生活史インタビュー調査から」
(ア)応募作品等の概要
沖縄には相互扶助的共同体が存在し、シングルマザーの子育てを支えているという言説が存在する。しかし、本論では地縁・血縁ネットワークからなる共同体に存在する不均等なジェンダー規範によって、女性たちは家族から放任され、期待もされずに生きていることを明らかにした。また、そうした周囲からの孤立が、自分の判断だけで子どもを産み育てる選択を後押ししていた。積極的・消極的のどちらとも言い難い女性の生殖に関わる自己決定のあり方は、就学、就労、育児の選択にも共通してみられ、だからこそ困難な状況に居続けていた。
(イ)選考理由
沖縄には独自性を持った支え合いがあり、シングルマザーも本土ほどには困らないといった言説が存在し、従来の社会学研究では沖縄に存在するジェンダー格差が見落とされてきた。本論文は、こうした言説に対して、沖縄の非婚シングルマザーの詳細な生活調査を基に、実態が非常に過酷であることを示し、沖縄の女性に向けられてきた社会からのスティグマを明らかにした努力が評価された。今後は、インタビュー対象者の共通する問題を明らかにするなど、さらなる研究に期待したい。
④ 明星大学 准教授 本多 真隆氏
「戦後日本家族と「子育ての連帯」―団地幼児教室における「民主的」運営への着目から」
(ア)応募作品等の概要
1960~70年代の団地に全国的に設立されていた、親たちの自主運営による保育施設(幼児教室)に着目し、その「民主的」な運営の実践を詳らかにすることで、戦後日本における「子育て」を通じた協同関係の構築の一端を明らかにした。検討の結果、幼児教育の「民主的」な運営とは、母親たちの主体性の獲得と、「子ども」を介した合意形成であることが明らかになった。そしてその活動は、近代家族のなかで私事化されていた子育てを開放した面はあったものの、性別役割分業型のライフスタイルを前提としたものであることを示した。
(イ)選考理由
子育てを通しての地域共同体があったという点に着目し、幼児教室を研究している点は面白い。また、歴史研究としてもよくできており、あたかもその場で聞き取っていたかのような書き方にも好感を持てる。しかしながら、使用している文献の数、ヒアリングもやや少なく、現代におけるインプリケーションも少ない点について、今後さらなる研究の深化に期待したい。

(2) 活動部門

活動賞
① 特定非営利活動法人ぎふ多胎ネット ピアサポートチーム(チームリーダー 小沢 梨恵氏)(岐阜県多治見市在)
「子育て仲間ができにくく孤立しがちな多胎家庭を妊娠期から仲間としてサポート」
(ア)応募活動等の概要
多胎家庭は乳児らの世話に追われ外出も難しく、社会的に孤立し虐待が起こりやすい現状を憂慮し、本団体は多胎家庭の母親・父親が子育てに追い詰められないよう、多胎育児経験者(ピアサポーター)による家庭訪問を通じて、対象者への情報提供や相談に乗る活動を続けている。また、「ふたごママの子育て教室」と「中学生の保育体験」を合体させた『学校に赤ちゃんが来る!』事業も開催、中学生男女のペアで双子を託児してもらう間に母親らが子育ての情報交換をする場を提供している。
(イ)選考理由
多胎児については昨今痛ましい事件も起きている中、多胎家庭を支援する事業を長く続けられ確固たる地位を築いている点が評価された。県内全域に支援が届くよう県内の8地域にエリアマネージャーを置くことによる組織的な活動、多胎育児経験者をサポーターとすることによる当事者性の高いサポートをコロナ禍においても続けており、行政や医療等の関係機関との連携を取るなど、対象者からの信頼も厚いきめ細かな支援を続けている点も評価された。
② 合同会社こどもみらい探求社(共同代表 小笠原 舞氏、小竹 めぐみ氏)(兵庫県神戸市在)
「親子で生きることを楽しむオンラインの子育て支援」
(ア)応募活動等の概要
専門家・仲間達と繋がり、子どもの遊びや育ちを分かち合うことのできる「オンラインおやこ保育園」を無償で提供している。「オンラインおやこ保育園」は、Zoomによる講座とFacebookによる宿題で構成し、オンラインでもリラックスできる仕掛けを作り、本音で話ができる関係性が作れるよう工夫を凝らしている。他の親子の様子から遊び方のバリエーションを獲得し、サードプレイスだからこそ普段言えないことを言える場を作ることで自分自身の気持ちや、子育て・夫婦関係に関する新しい視点を発見する場を提供している。
(イ)選考理由
待機児童の増加、また、コロナ禍において保育園や幼稚園が閉鎖される中、孤立しがちな家庭や地域から切り離された核家族にとって必要な支援事業を長く続けてきた点が評価された。保育士としてキャリアを積んだ運営者のもと、子育てで悩める親たち同士が全国各地から繋がり、それぞれの子育ての軸を見つけ自信を持って子どもと向き合えるよう、更に、人との違いを認め合うコミュニティの形成を育めるよう工夫されたプログラムを構成している点がユニークである。
③ 一般社団法人シュフレ協会(代表理事 武次 直美氏)(神奈川県川崎市在)
「親と子の笑顔をまもり・増やす活動」
(ア)応募活動等の概要
自分のことを後回しにしがちな未就学児をもつ親が、病に気付くのが遅れたことにより子どもの成長を見守れなくなってしまう事態を防ぐことを目的として、無料で受診することができる乳がんエコー検診体験など健康診断のイベントを開催している(今後子宮がん検診も開催予定)。医療関係者や行政を巻き込んで、室内遊戯施設を活用し、子供たちが遊んでいる間に受診できる環境を整え、要精密検査の結果が出た場合は、提携医院を紹介し、親たちの命を守る活動を続けている。
(イ)選考理由
母親は自分のことが二の次三の次になってしまう状況で、子どもを遊ばせながらの健康診断や乳がん検診に着目した点、親たちの健康を守り、病院とも連携して命を救う活動を続けている点が評価された。当日キャンセルでも即時繰り上げ参加が可能な独自キャンセル待ちシステム、コロナ禍で来店者数が激減している室内遊戯施設の有効活用、新顧客との出会いを求めている企業協賛を募った無料開催など、アイデアに溢れ、これまで多くの人が求めている支援を続けている。
④ 特定非営利活動法人Chance For All(代表理事 中山 勇魚氏)(東京都足立区在)
「放課後の居場所づくりを、すべてのこどものために」
(ア)応募活動等の概要
子どもの「放課後の居場所づくり」を通じて「生まれ育った家庭や環境で、その後の人生が左右されない社会の実現」を目指し、学童保育「CFAKids」を提供している。CFAKidsでは、奨学制度を導入し、家庭の経済状況に関わらず豊かな放課後の時間を過ごせる環境を整備している。また、すべての子どもが来ることのできるフリースペースつきの駄菓子屋を今年7月にオープン。大学生が運営を担い、常設であるオープンな場にすることで、すべての子どもの居場所となることを目指している。
(イ)選考理由
学童保育に奨学制度を導入し、子どもたちに経済状況による隔てのない居場所作りを整備している点が、あたらしい保育のかたちとして評価された。子どもの居場所だけではなく、「CFAKids」の職員が親たちの子育ての相談相手としてパートナーとなり、地域コミュニティとしても大きな役割を担っている。すべての子どもが来ることのできるフリースペースつきの常設の駄菓子屋の運営をはじめるなど、団体の名のとおり、すべての子どもの居場所になるべく活動を行っている。
⑤ 認定NPO法人ふれあい館ひろしま(理事長 今田 美雪氏)(広島県竹原市在)
「妊娠期からの子育て支援」
(ア)応募活動等の概要
子育ての責任を母親一人のものにしなくても良い子育て環境を目指し、地域で子育てを男女共同参画で楽しむ手助けとして、地域子育て支援拠点事業の一環で、としてひろばを開館するほか、一時預かり事業、病後児保育事業など、子育て支援に関わる幅広い事業を14年以上続けている。ひろばは年間340日以上開館し、働く父親母親も利用できる環境を整え、また、ひろばに来ることができない親たちも対象にすべく、家庭訪問型子育て支援「ホームスタート」を開始し、研修を受けたボランティアが定期的に家庭訪問し傾聴と協働により、親をエンパワーメントする活動も始めている。
(イ)選考理由
広島県竹原市という過疎地域において、長年に渡り、地道に、オーソドックスに子育て支援事業を続け、地域の親子の支えとなっている点が評価された。コロナ禍で子育て家庭の孤立化に拍車がかかるなか、「ホームスタート」を開始し、支援の場に出向くことが難しい人に対して、経済的な理由で利用者を選ばず、支援を必要とするそれぞれの家庭へ「届ける支援」を行い、親たちの孤立化や虐待の防止にも貢献している。

奨励賞

① 一般社団法人IAm(共同代表理事 眞栄田 若菜氏、阿部 藹氏)(沖縄県那覇市在)
「沖縄の若年女性のエンパワーメント」
(ア)応募活動等の概要
本土との所得格差が大きく、ジェンダーバイアスが根強く残る沖縄では、家族の希望で進学を諦めたり、やりたいことを諦めて生活のために就職を選んだりする女性も多い。そのような沖縄の女性の自己実現とジェンダー平等実現のために、多様な業界で働く社会人と触れる機会や、学生と社会人が意見を交換し合う場など、沖縄の女性同士のネットワークづくりの場(ネットワーキングカフェ)を提供する活動を行っている。多様な価値観に触れることで、沖縄の若年女性が自分らしく生きる意欲の向上とエンパワーメントに資することを目指している。
(イ)選考理由
沖縄の地理的特性や経済的格差に起因した生きにくさを抱える女性に、多様な価値観や生きる指針を共有する活動が評価された。沖縄に所縁のあるテレビ局の記者、ファッションスタイリスト、通訳者等多岐に渡る職種のゲストを招き、人気のホテルやカフェを会場にするなど、若年層の参加意欲を高める工夫をし、認知度を着実に高めている。設立からまだ1年と年月が浅い団体ではあるが、目指すべきところは素晴らしく、沖縄でこれからも活動を広げてほしいとの願いから、今回はじめて活動部門で奨励賞として表彰に至ることとなった。