メニュー

男女共同参画・
少子化

Gender equality,
the declining birthrate

男女共同参画・少子化 男女共同参画・少子化

顕彰結果

平成29年度男女共同参画・少子化関連研究活動の支援に関する顕彰事業

2017.12.08

第8回 男女共同参画・少子化に関する研究活動の支援、並びにこれに関する顕彰事業選考結果について

当基金の選考委員会の結果に基づき、受賞者を決定いたしました。
本顕彰事業は、男女共同参画社会の推進、並びに少子化対策が、わが国の健全なる発展に極めて重要であるとの基本認識に立ち、若手研究者等の研究・活動の一層の推進を目指すことを目的としております。

1. 顕彰の趣旨

本顕彰事業は、男女共同参画社会の推進、並びに少子化対策が、わが国の健全なる発展に極めて重要であるとの基本認識に立ち、若手研究者等の研究・活動の一層の推進を目指すものです。

2. 選考委員

(1)    独立行政法人 国立女性教育会館 客員研究員(前理事長) 神田 道子氏
(2)    恵泉女学園大学 学長 大日向 雅美氏
(3)    中京大学 現代社会学部 教授 松田 茂樹氏
(4)    公益社団法人 程ヶ谷基金 理事長 相原 元八郎

3. 選考結果

(1) 論文部門

①最優秀賞
東京大学大学院 人文社会系研究科 博士課程 打越 文弥氏
「育児休業の取得が女性の就業継続に与える中長期的な影響-JGSS-2009LCS を用いた生存分析-」
②優秀賞
首都大学東京大学院 人文科学研究科 博士後期課程 柳下 実氏
「就業継続意向・雇用の不安定性は女性の希望する結婚までの期間に影響を与えるか?-結婚意識の期間的側面-」
③奨励賞
独立行政法人 労働政策研究・研修機構 研究員 高見 具広氏
「総合職女性の昇進意欲に関わる職務経験-性別職務分離の問題性の考察-」
(2) 活動部門

活動賞

①iamamiami(代表 鶴巻 祐子氏)
「地域における多世代交流を目的とした会合『あみじん』、『銭湯プロジェクト』等の活動」
②特定非営利活動法人 マザーズライフサポーター(理事 伊藤 理恵氏)
「仕事と託児を両立する『コラボワーク』、地場野菜コーナー『ニコママセレクト』等の運営」
③特定非営利活動法人 くにたち農園の会(理事長 小野 淳氏)
「農園『くにたちはたけんぼ』、田畑とつながる子育て古民家『つちのこや』等の運営」
④NPO 法人 ハッピーマザーミュージック(理事長 鈴木 美美子氏)
「『0歳からのおやこコンサート』等の音楽活動を通じた子育て及びキャリア継続支援活動」
⑤特定非営利活動法人 びーのびーの(理事長 奥山 千鶴子氏)
「『びーのびーの幼稚園・保育園ガイド』の制作、子育てオープンデータ・プロジェクト等の活動」
⑥特定非営利活動法人 こまちぷらす(理事長 森 祐美子氏)
「『ウェルカムベビープロジェクト』をはじめとする『孤育てのない社会をつくる』活動」
⑦秋田子育て支援団体 CHERISH(代表 加藤 未希氏)
「『CHERISH CAFÉ』、『CHERISH CLUB』等、秋田に密着した子育て支援活動」

4. 顕彰者応募作品等の概要及び選考理由

(1) 論文部門

①最優秀賞
東京大学大学院 人文社会系研究科 博士課程 打越 文弥氏
(ア)応募作品等の概要
日本における育児休業の取得が女性の就業継続に中長期的に与える効果を、取得におけるバイアスの影響を考慮に入れて検討した作品。育児休業の取得は就業期間に正の効果を持ち、特に調整後の育児休業非取得者の離職傾向が強まることが観察された。その反面、取得者が非取得者よりも昇給・昇進が遅れるというリスクを持ち、仕事へのコミットメントが強い者が育児休業を敢えて取得しなかったとの解釈も導いた。
(イ)選考理由
育児休業の中長期的影響を「傾向スコア法」という最新の高度なテクニックを用いて検証している点が高く評価された。また、傾向スコアが近い個人同士を1 対1 でマッチングさせている点、研究に使用したデータがベストなものである点も評価された。
②優秀賞
首都大学東京大学院 人文科学研究科 博士後期課程 柳下 実氏
(ア)応募作品等の概要
「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査2007」を用いて未婚女性の就業継続意向及び雇用の不安定性と希望する結婚までの期間との関連性を検討した作品。就業継続を予定している女性及び非正規雇用の女性は希望する結婚までの期間が長いのに対し、大企業や専門職など比較的安定した就業環境で働く女性は短いことが示され、女性の就業状況が結婚までの期間の長短に影響を与えていることを示唆した。
(イ)選考理由
高い結婚意欲を前提に未婚・晩婚化の要因を分析した点は面白い。また、サンプルバイアスを取り除く方法を適用し、雇用の不安定性が希望する結婚までの期間に影響を与えること及び就業と家庭の両立が困難な現状を実証した点が高く評価された。
③奨励賞
独立行政法人労働政策研究・研修機構 研究員 高見 具広氏
(ア)応募作品等の概要
職務経験の男女差が女性の昇進意欲にどのように関わっているのかを実証的に分析した作品。分析の結果、対外的な折衝等の基幹的職務の経験を多く積んだ女性ほど、自己の能力への自信を深め、それが昇進希望を育む土壌となっていること、総合職の女性が男性と同等の職務経験を積めるか否かは、その企業における男性の働き方即ち残業の多寡が関係することを導き、男性と同等の職務割当ての重要性を説いた。
(イ)選考理由
貴重な、大規模データを用いて、女性管理職の育成という社会的テーマを丁寧に分かりやすく分析している点が評価された。政策提言に結びつく作品であり、男性の働き方が実は女性の働き方にも影響しているという分析結果がユニークである。

(2) 活動部門

活動賞

①iamamiami(代表 鶴巻 祐子氏)
(ア)応募活動等の概要
地域での世代を超えた居場所やつながり作りを目的として、地域の人たちの「こんなことをしたい」「こんなところがあったらいいな」という想いを実現していくことを団体のミッションとし、「あみじん」という親睦会も兼ねたオープンな定例会合を開催することで地域の声を拾っている。その中から生まれた、お寺との協働イベント「子守り座禅会」や銭湯を多世代交流の場とする「銭湯プロジェクト」等を実施している。
(イ)選考理由
古くから地域に根ざしているお寺や銭湯を多世代交流の場として着目した点が面白く、新たな地域づくりの取組として評価された。失われつつある地域コミュニティの場に改めて光を当てるもので、今後、全国的なモデルとなっていくことが期待される。
②特定非営利活動法人 マザーズライフサポーター(理事 伊藤 理恵氏)
(ア)応募活動等の概要
当法人は小さい子どもを持つ子育て中のママで構成されており、地域密着型の子育て情報誌の発行や、乳幼児ママ向けの託児付き休憩所の運営、託児付きワークシェアリング等を実施している。子育て期の女性にしか生み出せないアイデアを形にし、「共働」「時短」「役割分担」「多様性」を大切にすることで、一人では不可能な仕事も、チームで取り組む働き方を提案するなど、妊娠・出産を希望する風土を広げている。
(イ)選考理由
母親たちが子どもを預け合いながら、空いている時間に持っている能力を活かして、企業に自分たちの誰かを派遣するというユニークな取組み。活動の1 つである「ニコママセレクト」も、母親ならではのノウハウが活かされている点が評価された。
③特定非営利活動法人 くにたち農園の会(理事長 小野 淳氏)
(ア)応募活動等の概要
「農のある都市」、「農が身近にある暮らし」の実現をミッションに掲げ、東京では稀少な里山風景の残る農園「くにたちはたけんぼ」と、田畑とつながる古民家「つちのこや」を活動拠点に地域の子育て支援を行っている。「木育、土育、食育、遊育」による子供の感性豊かな心の発達と親のリラクゼーションを促すことで、地域の資源と人材を活かし、地域ぐるみで子どもたちを見守り、育てる環境の継承を目指している。
(イ)選考理由
農を通じて、子どもたちを感性豊かに育てる子育て支援活動であると同時に、農地と都市の新しい関係を創出する地域づくりへの取組が評価された。都市部におけるコミュニティづくりは農村部とは異なる点が多く、今後の試行錯誤的取組みが期待される。
④NPO 法人 ハッピーマザーミュージック(理事長 鈴木 美美子氏)
(ア)応募活動等の概要
「音楽療法」で効果が知られる音楽とお話(絵本や紙芝居など)を用いて、保育士とともに0~3歳児を惹きつけるプログラムを開発し、未就園児親子対象のコンサート活動を専門に行っている。回数券やパスポート制度で継続参加を促し、単発ではない子育て支援を行うと同時に、子育て中の音楽家が音楽活動を無理なく両立し、徐々に運営ノウハウを得て、派生団体として独立できるキャリア継続支援活動も行っている。
(イ)選考理由
子育て支援だけでなく、子育て中の音楽家が出演することで、音楽家としてのキャリアを継続、育成できる場も提供している点がユニークである。また、響演→定演→出張と出演者を育てる工夫や「ぶたくん」等の子どもを惹きつける工夫も評価された。
⑤特定非営利活動法人 びーのびーの(理事長 奥山 千鶴子氏)
(ア)応募活動等の概要
「自分たちの過ごす地域に『日常的に親子で過ごせる場所』が必要」という課題意識を持った母親たちが、2000 年に子育て広場「おやこの広場びーのびーの」を開設後、地域子育て支援拠点等を運営している。その運営の中で、幼稚園・保育園情報の収集 の糸口として「びーのびーの幼稚園・保育園ガイド」の制作を開始した。制作プロセスにできるだけ多くの子育て当事者家庭の力を得ることで地域活動と連携している。
(イ)選考理由
ガイド作成過程において地域の親たちを巻き込んだ自律的な仕組みを作り上げ、子育て家庭のニーズを丁寧に拾い上げている点やアプリ化等も自らの手で進めている点等が評価された。一定規模のNPO が今後どのように継続を図るのかが期待される。
⑥特定非営利活動法人 こまちぷらす(理事長 森 祐美子氏)
(ア)応募活動等の概要
2012 年から「孤育てのない社会をつくる」をビジョンに活動をしており、そのうち「ウェルカムベビープロジェクト」は、子どもの誕生を皆で祝福する文化を醸成することを目的に、2016 年に官民住民連携で立ち上げたプロジェクトである。地域と企業・団体の支援を受け、戸塚区在住で赤ちゃんが生まれ、申し込みがあった家庭に無償でウェルカムベビーボックスを届けたり、おむつ自動販売機を開発したりしている。
(イ)選考理由
官民だけでなく住民も連携している点、経済界も巻き込んだ活動をしている点がユニークで評価された。比較的新しい団体で発展途上の過程と推察されるが、試行錯誤しながら努力を重ねている印象を受けており、今後の斬新な取組みが期待される。
⑦秋田子育て支援団体 CHERISH(代表 加藤 未希氏)
(ア)応募活動等の概要
子育て真っ最中の母親たちが立ち上げた団体であり、自分たちの子育て経験を通して、子育てがもっと楽しくなるような、こんな場所やイベントがあったらいいなと感じたことを形にしている。具体的には、子連れでも安心して飲食のできる親子カフェ「CHERISH CAFÉ」や、幼児期から受講可能な幅広いレッスン「CHERISH CLUB」の運営、子育て世代向けフリーペーパー「WIRE ママ」の発行等を行っている。
(イ)選考理由
子育て支援施設の比較的少ない秋田県において、引きこもりがちな子育て中の母親に対し、当事者が立ち上がり、幅広い支援活動を行っている点が評価された。今後、地域の子育て支援のリーダー的存在となり、活動の幅を広げていくことが期待される。