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男女共同参画・
少子化

Gender equality,
the declining birthrate

男女共同参画・少子化 男女共同参画・少子化

顕彰結果

平成23年度男女共同参画・少子化関連研究活動の支援に関する顕彰事業

2011.12.09

第2回 男女共同参画・少子化に関する研究活動の支援、並びにこれに関する顕彰事業選考結果について

当基金の選考委員会の結果に基づき、受賞者を決定いたしました。
本顕彰事業は、男女共同参画社会の推進、並びに少子化対策が、わが国の健全なる発展に極めて重要であるとの基本認識に立ち、若手研究者等の研究・活動の一層の推進を目指すことを目的としております。

1. 顕彰の趣旨

本顕彰事業は、男女共同参画社会の推進、並びに少子化対策が、わが国の健全なる発展に極めて重要であるとの基本認識に立ち、若手研究者等の研究・活動の一層の推進を目指すものです。

2. 選考委員

(1)    独立行政法人 国立女性教育会館 前理事長 神田 道子氏
(2)    恵泉女学園大学 大学院教授 学術博士 大日向 雅美氏
(3)    株式会社第一生命経済研究所 主任研究員 松田 茂樹氏
(4)    公益社団法人 程ヶ谷基金 理事長 廣幡 忠淳

3. 選考結果

①最優秀賞
お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科 研究院研究員 大木 直子氏
「地方議会における女性の政治参加-神奈川県におけるリクルートメント過程を中心に」
②優秀賞
① 川口短期大学 こども学科 専任講師 井上 清美氏
「現代日本の母親規範と自己アイデンティティ-ファミリー・サポート事業における相互行為を事例として」
② 淑徳短期大学 准教授 / 日本プレイセンター協会 代表 佐藤 純子氏
「プレイセンターにおける親の協働保育運営とソーシャルキャピタル形成に関する実証的研究」
③奨励賞
① 明治大学情報コミュニケーション学部 特任講師 田中 洋美氏
「働く独身女性のライフコース選択―『普通の逸脱』の日本的文脈」他
② NPO法人 子育てサポーター・チャオ 代表理事 近澤 恵美子氏
「仕事復帰へ向けた企業とのネットワーク事業」、「子育てサロン」の開設等の活動
③ NPO法人 女性と仕事研究所 研究員 前田 佐保氏
「中小企業におけるワーク・ライフ・バランス推進事業」等の活動
④ 働くママ支援プロジェクト「キラきゃりママ」 代表 大洲 早生李氏
働く母親のための情報サイト「キラきゃりママ」による情報発信等の活動
⑤ アジア女性資料センター・ユースグループ コーディネーター 濱田 すみれ氏
「ジェンダーカフェ」、「女性の人権と社会運動について学ぶセミナー」等の活動

4. 顕彰者応募作品等の概要及び選考理由

①最優秀賞
お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科 研究院研究員 大木 直子氏
(ア)応募作品等の概要
女性が議会進出を阻害する要因についての議論ではなく、女性議員増加の要因や背景、政党による候補者選考の戦略との関係などについて分析・研究を行っている。女性候補者の需要を高める制度を持つ政党が、女性議員の増加を支えていることが明らかになり、今後の地方レベルの女性の政治参加の動きを大きく左右するとの分析を提示している。
(イ)選考理由
地方議員の候補者リクルートメントの供給側と需要側の具体的な動きをつぶさに調査し、女性議員増加の要因や、背景を含めた調査結果を同時に明らかにしたユニークな作品。地方レベルでの女性の戦略的なキャリア・パス形成過程と、政党の積極的なリクルートメントによる議会進出のチャネルを実証的に示した意義は大きい。女性の政治参加と男女共同参画社会の新しい展望を伺わせる作品であり、高く評価された。
②優秀賞
① 川口短期大学 こども学科 専任講師 井上 清美氏
(ア)応募作品等の概要
自己犠牲という命題を含む母親による子育てが最も望ましいとされてきた「近代的母親規範」――これが絶対的なものでなくなり、「母として、妻として」のみならず、「自分自身」の生き方についても選択肢が増え、性別役割分業を基盤とする近代家庭は普遍性を喪失しつつある。ファミリー・サポート事業にも焦点を当てながら、「子どもをあずける-あずかる」という相互行為を、インタビューも踏まえて考察した切り口は、子育て支援のあり方についても活発な論点を提示している。
(イ)選考理由
結婚・出産を機に専業母となる女性の自己アイデンティティの維持再編、そして、ライフコースの軌道修正の困難なことなどを説き、社会構造という文脈のもとで、現代に生きる女性に必要とされる支援の方向性について一定の考え方を示している。母親の子育て責任を当然視する社会規範にも強い警鐘を鳴らしており、これらを成り立たせる社会的背景と当事者の意識構造をも鋭く捉えた作品。高く評価された。
② 淑徳短期大学 准教授 / 日本プレイセンター協会 代表 佐藤 純子氏
(ア)応募作品等の概要
ニュージーランドで親たちが始動した協働保育活動であるプレイセンターに着目し、親の参加によって創出されるソーシャル・キャピタルと、その効果について詳細にわたって検証している。地域コミュニティの活性化や親たちの子育て力の養成、メンバー相互のネットワーク強化の方策などが結果、導き出されている。つまり、子育ての当事者である親たちがプレイセンターにおいて協働することは、メンバー間の相互の理解を深め、親が互いを活用し合うソーシャル・キャピタル創出に繋がるという分析である。
(イ)選考理由
プレイセンターを、親も子も共に成長できる場として捉え、その結果としてソーシャル・キャピタルの蓄積、地域社会活性化が生まれるという指摘はユニークである。プレイセンターの社会的意義と日本導入を両面から鋭く説いた作品。本人が日本プレイセンター協会の代表として普段から積極的な活動を実践している点も併わせて高く評価された。
③奨励賞
① 明治大学情報コミュニケーション学部 特任講師 田中 洋美氏
(ア)応募作品等の概要
近年、日本で少子化、未婚化・晩婚化・非婚化が進む中、女性の結婚しないことへのスティグマが存在し、これを取り除くために、「普通の逸脱」が真剣に検討されている。都市で働く独身女性にも聞き取り調査を実施したが、彼女たちは「社会的制裁」や「スティグマ」から脱出を試みるものの、一部にはそれを受け入れるケースも見られた。つまり、女性の結婚行動の変化が、必ずしも女性自身の意識の変化を拘束しないことを伺わせた。
(イ)選考理由
現在、日本で進行している独身者の増加や、妻・母親に求めるジェンダー規範からの逸脱、更には働く独身女性の変容に焦点を絞った作品。日本だけでなく、欧米や東アジアとの比較も視野に、グローバルな分析を試みた独創的な研究として評価を得た。
② NPO法人 子育てサポーター・チャオ 代表理事 近澤 恵美子氏
(ア)応募作品等の概要
「仕事復帰へ向けた企業とのネットワーク事業」や、子育てサロンの開設、親子サークルや企業の男性向け子育て講師の派遣、更には中学生~大学生といった次の世代を担う若い世代に対する幅広い啓蒙活動など、行政との適度の連携も行いながら地道な活動を行っている。
(イ)選考理由
従来型の「子育て支援」に加え、男女共同参画の視点から社会全体として取り組む幅広い活動ときめ細かなケア、更には海外の社会的支援活動のリサーチなど、各方面に対する積極的な姿勢、活動が評価された。
③ NPO法人 女性と仕事研究所 研究員 前田 佐保氏
(ア)応募作品等の概要
「中小企業におけるワーク・ライフ・バランス推進事業」などの活動を通じ、「女性が働くこと」を中心に、女性があらゆる分野で活躍する社会を目指す活動をしている。キャリア・アドバイザー向けメール・マガジンや雑誌を定期的に発行しており、女性の働き方、生き方に関する情報も発信している。一方、ワーク・ライフ・バランスを推進するフォーラムを主催し、仕事と私生活のバランスの取れた生き方のできる会社づくりなどにも力を注いでいる。
(イ)選考理由
ワーキング・マザーの働き方や仕事と家庭の両立、海外で働く女性の情報など身近な内容を常に情報発信している。各種セミナーでは、ワーク・ライフ・バランスの支援制度を詳細に解説し、その推進を呼びかけるなどの活動も行っている。様々な媒体を通じて女性が働きやすい社会・組織作りを幅広く支援、推進し、提唱してきた点がとくに評価された。
④ 働くママ支援プロジェクト「キラきゃりママ」 代表 大洲 早生李氏
(ア)応募作品等の概要
働くママ支援プロジェクトを立ち上げ、母親を中心とした食育などのプロジェクトを始動してきた。働く母親のための情報サイト「キラきゃりママ」をインターネット上に開設し、働く女性の問題解決につながる情報や知恵を日々更新している。
(イ)選考理由
少子高齢化・女性の社会進出が進む中、子を持つ母親が「働きたくても働けない」という思いは深い。子育てと仕事の両立に悩む女性たち...。自身、企業広報のスキルを活かして、働く母親の生き方をリアルタイムで発信する姿が高い評価を得た。
⑤ アジア女性資料センター・ユースグループ コーディネーター 濱田 すみれ氏
(ア)応募作品等の概要
20代~30代前半の女性のボランティア・グループとして、人権や男女平等について理解を深める活動を地道に実施してきた。同世代を対象とした「ジェンダーカフェ」や、女性の人権と社会運動について学ぶ連続セミナーなどの試みを、アジア女性資料センターと共催する形で推進してきている。
(イ)選考理由
身近な話題を、日々感じている男女間の問題と共に自由に語り合う「ジェンダーカフェ」――これを自ら企画し、開催してきた実績が評価された。